がん患者が寄り添う場所、マギーズ東京を視察
今回は、先日視察で訪れました
東京の豊洲にある「マギーズ東京」について
お話をしたいと思います
皆さん、マギーズ東京って
お聞きになったことがあるでしょうか?
ここは、がんを経験した方や
そのご家族を支援する施設です
今回、実際に施設を訪れて
スタッフの皆さんから
いろいろなお話を伺いました
その中で、私自身も福祉の専門職として
考えさせられることが
たくさんあったんですね
ぜひ皆さんにも
シェアしたいなと思いましたので
今回はそのお話をしたいと思います
豊洲にある「マギーズ東京」ってどんなところ?
東京の豊洲に
「マギーズ東京」という施設があります
おそらく、これを読んでいらっしゃる方の中にも
この施設の存在を知らないという方が
多いんじゃないかなと思います
「マギー」というのは、人の名前なんですね
イギリス人の女性で
ご自身もがんを経験されました
その経験から
「こういう施設が必要だね」
「こういう支援が必要だね」
その思いが形になったのが
マギーズセンター
マギーさんご自身は
イギリスで最初のマギーズセンターが
設立される一年前に亡くなられてしまうんですけれども
その理念が受け継がれて
世界各地にセンターが設立されています
そして、今回私が訪れた
豊洲のマギーズ東京は
日本で唯一のマギーズセンターなんですね
ここは病院とは違って
本当にまるでカフェのような空間です
豊洲のマギーズ東京は
横に東雲運河(しののめうんが)が流れていて
とても立地がいいんですね
建物もおしゃれで
とても居心地のいい空間でした

なぜ今回、マギーズ東京を視察したのか
今回、私がここを訪れた理由は
仕事と治療の両立支援について
現場からヒントをいただきたかったからなんです
今、働きながら病院に通われている方は
2326万人居るそうです
(厚生労働省調べ)
そして、仕事を持ちながら
がんの治療をしている人は
約25万人いると言われています
(厚生労働省調べ)
そういう時代だからこそ
「労働施策推進法」において
2026年4月1日から「治療と仕事の両立支援」も
法律に位置づけられました
そんな中で企業は、そして地域は
働きながら治療をしている方を
どう支えたらいいのか
特に企業の場合
従業員さんから相談を受ける側になるわけですよね
その時に、何が求められているのか
ここをしっかり深めていかなくちゃ
いけない時代になったなと
最近とても思っているんです
今回の視察では働きながら治療をする人を
どのように支援をしたらいいのか
そのあたりをポイントにお話を伺ってきました

視察で見えてきた5つの大切なこと
今回の視察の中で
私が特に重要だと感じたポイントが5つありました
一つ目は、がんは治療が終わっても
支援は終わらないということです
治療が一区切りついて
寛解という状態になったとしても
そこで全ての悩みがなくなるわけではありません
職場復帰をしてからの不安や
周囲との関係、これからの生活のこと
そういう悩みや孤立に対応できる場所が
必要なんだなということです
二つ目は、相談者が最初に話した内容が
本当に相談したいこととは限らないということです
マギーズ東京でとても大切にされていたのが
雑談や傾聴でした
その人の背景に何があるのか
そして、その人自身も気づいていない
本当の不安がどこにあるのか
そこに気づいてもらうために
どう話を聞き、どう働きかけていくのか
そういうことを非常に大切にされていました
三つ目は、相談先に依存させないということです
これも印象的でした
相談に来られた方に答えを伝えて
そのとおりにしてもらうのではないんですね
ご本人が自分で考えて、自分で選択する
そして、マギーズ東京だけではなく
複数の頼れる場所を持てるようにする
そういう支援を大事にされているということでした
四つ目は、支援する人への支援も
大切にしているということです
がんに関する相談ですから
本当に重い相談も多いんですよね
涙を流される方もいらっしゃいますし
何も話さない沈黙の時間の中で
ご本人が自分の気持ちを
深く見つめていくこともあります
そういう場面に
日々向き合っているスタッフさん自身が
心身ともに健全な状態を
保つことも非常に大事なんです
そのため、スタッフさん同士が
一日の終わりに感情を整理する時間を設けるなど
支援する側を支える仕組みも
つくられているそうです
そして五つ目は、地域で支える仕組みです
マギーズ東京は
日本では一か所しかありません
だから、誰もが気軽に
豊洲まで行けるわけではないんですよね
でも、全国各地には
「暮らしの保健室」という取り組みもあって
マギーズの理念にも通じる
人に寄り添う支援が
地域の実情に合わせて行われています
こうした考え方を
地域の中にどう広げていくのかということも
とても大切だと感じました

寄付で運営され、誰でも無料で相談できる場所
もう一つ、マギーズ東京の大きな特徴が
運営を寄付によって支えているということです
実際に運営費のお話も伺いましたけれども
非常に多額の費用がかかります
それでも
この理念に賛同する企業などから寄付をいただき
活動を続けていらっしゃるんですね
そして、利用される患者さんやご家族は無料です
予約をしなくても、ふらりと訪れることができる
病院ではないけれども
がんと向き合う方が安心して立ち寄り
話ができる場所なんです
スタッフさんには看護師さんなどの
専門職がいらっしゃって
がん看護を専門とする方もいます
そんな専門職の皆さんが大切にしている
支援のあり方について伺う中で
私が一番驚いた言葉がありました
「アドバイスをしてはいけない」という言葉に驚きました
今回、対応してくださった
スタッフさんのお話の中で
一番心に響いたのが
「アドバイスをしてはいけない」
という言葉だったんです
これには非常に心に響きました
私は今
仕事と介護の両立支援に携わっています
企業で働く従業員さんが
親御さんの介護をすることになった時に
どうやったら仕事と介護を両立できるのか
そういうことを
個別相談や研修の中でお伝えしています
今回のマギーズ東京は
がんと治療の両立支援ということになりますけれども
専門職だからこそ
いろいろな答えを持っていると思うんですよね
制度のことも分かる
使えるサービスも分かる
こうした方がいいんじゃないかという選択肢も
いくつも持っていると思います
だけれども、答えをすぐに教えないことが
非常に大事なんだとおっしゃるんです
本人自身が、自分の気持ちに気づく
本当はどうしたいのか
何を大切にしたいのか
答えは、その人自身の中にあるんですよね
でも、その答えに自分で出会って
自分で選び取るところまで
どうやって話を聞いていくのか
そこが大切なんだということでした
時には沈黙も大事なんです
何も話さない時間があってもいい
その時間の中で、ご本人が自分の気持ちと
向き合っていることもあるんですよね
がんの相談だと思っていたら、本当の悩みは別のところに
実際に、こんなお話も伺いました
がんの治療について
相談に来られた女性がいらっしゃったそうです
最初は、その女性のがんの治療について
お話を聞いていたんですね
でも、いろいろ説明をしても
なんとなく腑に落ちない表情を
されていたそうなんです
そこで、さらに時間をかけてお話を聞いていくと
実は全然違うご家族の問題について
悩まれていたことが分かったんです
そこに大きなモヤモヤがある
だから、自分のがんの治療に集中できない
本当に困っていたのは、そこだったんですね
もし最初に相談されたがんの治療について
専門職が次々とアドバイスをして
それで相談を終えていたらどうだったでしょうか
その女性自身も
自分が本当に悩んでいることに
気づけなかったかもしれません
これって、私がケアマネジャーとして
経験してきたことにも
非常に重なるところがあるんです
専門職だからこそ、つい答えを言ってしまう
私もケアマネジャーとして
これまでいろいろなご家族の相談を受けてきました
でも、どうしても限られた時間の中で
話を聞こうと思うと
やっぱりアドバイスしちゃうんですよね
答えを言っちゃうんです
「このサービスをこういうふうに
使ったらいいんじゃないですか?」
「こういう制度がありますよ」
「じゃあ、こうしましょうか」
というふうに、パンパンパンと伝えてしまう
もちろん、そういう情報が必要な場面もあります
でも、それだけでは解決しないこともあるんですよね
ケアマネジャーであれば
月に一回訪問をする中で
少しずつ信頼関係を深めていくこともできます
何度もお会いすることで
最初には話せなかったことを
話してくださるようになることもあります
でも、企業の担当者さんが
従業員さんから仕事と治療の両立について
相談を受ける場合はどうでしょうか
必ずしも、何度もじっくり話を聞けるとは限りません
だからこそ
相手の本当の思いや悩みを引き出すためには
非常にトレーニングを必要とする聞き方が
求められるんじゃないかなと思いました
専門的な知識を持っていることと
相手の話をきちんと聞けることは
また別なんですよね
これは私自身も
改めて考えさせられたところでした
病気になっても、その人の人生は続いていく
当たり前のことなんですけれども
人は病気になったとしても
その人の人生を生き続けているわけなんですよね
今回、仕事と治療の両立について調べていく中で
私がショックを受けたことがありました
がんと診断された方の約6割の方が
治療が始まる前に仕事を辞めてしまう
(厚生労働省調べ)
がんと診断されたことで
これからどうなるのか分からない
仕事を続けられるのか
会社に迷惑をかけてしまうんじゃないか
そうした不安から
治療と仕事を両立するための制度や支援につながる前に
退職を選んでしまう方もいらっしゃるんですね
企業に在籍していれば
まだ相談できる機会があるかもしれません
でも、仕事を辞めてしまうと
社会とのつながりまで
手放さざるを得ないという方もいらっしゃいます
では、そういう方たちをどこで支えていくのか
これは企業だけの問題ではないと思うんです
自治体としても
こういうニーズがあるということを
しっかり捉えて
考えていかなくちゃ
いけないんじゃないかなと思いました
医療は病気を治療します
でも、その人がどう生きたいのか
どんな仕事を続けたいのか
何を大切にしているのか
そういうことを支える仕組みも必要なんですよね
病気になったからといって
その人の人生が終わるわけではありません
病気になっても
その人の人生は続いていくんです
AIで何でも答えが出る時代だからこそ
今回の視察で
もう一つ改めて感じたことがあります
今、AIが本当に便利になりましたよね
何か分からないことがあれば
AIに聞けばいろいろな答えが返ってきます
病気のことも、治療のことも、制度のことも
調べようと思えばたくさんの情報が出てきます
がん患者さん自身が、AIにいろいろなことを
聞き続けてしまい
そこから抜け出せなくなるひとも多いそうです
だからこそ
人が人の話を聞くということに
価値があるんじゃないかなと
今回改めて感じました
情報を伝えることと
その人の気持ちを受け止めることは違います
答えを教えることと
その人自身が答えを見つける手助けをすることも
違うんですよね
私は福祉の支援者として
相手の問題を解決するための方法や
道筋をお伝えすることはできます
でも、最後に決めて、行動して
解決していくのはご本人なんです
その人が自分の人生を
自分の望むように生きるために
あるいは、病気や介護によって
見失いそうになった
自分らしい暮らしを取り戻すために
その手助けをすること
それが本当の意味での支援なんじゃないかなと
今回改めて感じました
豊洲での活動は10月20日で一区切りに
今回訪問させていただいたマギーズ東京は
現在の豊洲の建物での活動が
10月20日で一区切りになるそうです
土地の契約が終了する関係で
移転することが決まったというお話でした
ですから、今の建物で運営されている姿を
このタイミングで見せていただけたというのは
本当にラッキーだったなと思います
川がすぐそばにあって
まるでカフェのような
とても素敵な空間でした
この場所がなくなってしまうというのは
すごくもったいないなとも思います
でも、マギーズ東京の大切なところは
建物だけではないんですよね
そこで大切にされてきた
人に寄り添う支援のあり方
相手の話を聞き
その人自身が答えを見つけていくことを
支えるという理念
そういうものは
場所が変わっても残っていくはずですし
これから先も
受け継がれていくべきものだと思います
マギーズ東京は、今年10月で
開設10周年を迎えるそうです
これからも、必要な方に必要な支援が届くように
その理念を大切にして活動を
続けていきたいというお話も伺いました
支援とは、その人が自分の人生を生きるための手助け
今回は、東京の豊洲にあるマギーズ東京を
視察させていただいたお話をしました
仕事と治療の両立支援というのは
これからますます社会の中で
必要になってくる分野だと思います
企業がどう支えるのか
地域がどう支えるのか
そして自治体として
どういう仕組みをつくっていく必要があるのか
今回の視察を通じて
改めて考えさせられることがたくさんありました
そして、私自身がケアマネジャーとして
産業ケアマネとして
日々行っている支援についても
振り返る機会になりました
専門職だからこそ、つい答えを教えたくなる
でも、本当に大切なのは
その人自身がどうしたいのかということなんですよね
その思いを引き出して
自分で選択できるように支える
そして、困った時に頼れる場所を一つだけではなく
いくつも持てるようにする
病気になっても、介護が始まっても
その人の人生は続いていきます
その人が自分の人生を
自分らしく生きていくために
私たち支援者は何ができるのか
そんなことを改めて考えた
マギーズ東京への視察でした
投稿者プロフィール

- 企業と産業ケアマネを紡ぐ会 代表
-
岡崎市議会議員
株式会社わがんせ 代表取締役
・単独型居宅介護支援事業所あすなろケアプラン(岡崎市)
・単独型居宅介護支援事業所つむぐ支援センター(名古屋市)
一般社団法人日本単独居宅介護支援事業所協会 ケアマネジャーを紡ぐ会 副会長
共著「介護職よ、地方議員を目指せ!」出版
前田れいこ公式ブログ
詳しいプロフィールはこちら
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