西部シニアファッションショー

今回は、先日、地域の福祉センターで行われた
デイサービスの利用者さんが主役になった
ファッションショーについてお話をしたいと思います

手作りのランウェイで
利用者さんが歩く

特別な衣装を用意するというわけではないんです

利用者さん自身が
おうちにあるお気に入りの洋服を選んで
デイサービスにやってきて
レクリエーションの一環として行うファッションショー

これがとってもよかったんですね

なぜこのファッションショーが
私の心を打ったのか

そして、この取り組みがもたらす
介護予防の効果についても
今回はお話をしたいと思います

主役は、デイサービスの利用者さん

先日、9月19日の土曜日
岡崎の西部福祉センターで
「西部シニアファッションショー」が
開催されました

この福祉センターには
デイサービスが入っています

さらに、「ごちゃまぜ福祉」の思想のもと
高齢者の方も、成人の障害のある方も
そして子どもさんも
どなたでも福祉という枠組みの中で
利用できるような福祉センターなんです

そこで、昨年に続いて
今年で2回目となる
ファッションショーが行われました

ファッションショーといっても
皆さんが想像するような
華やかなショーというよりは
もう少し手作り感があって
アットホームな感じで作られているんです

会場には赤色のランウェイが作られていました

長さは5メートルくらいかな

背景やモデルさんが登場する場所も
きれいにデコレーションされていて
ランウェイの横には手作りのお花が置かれ
その両側に椅子が並べられていました

そこに利用者さんのご家族や
地域の福祉関係の方
そしてデイサービスを利用している方たちも座って
ファッションショーが始まりました

この日の主役は、デイサービスの利用者さんです

「ランウェイを歩く」という目標に向かって

実は皆さん、この日のために
「ランウェイをかっこよく歩く」という目標を持って
デイサービスで活動をされてきたそうなんです

杖なしで歩ける方もいらっしゃれば
歩行器を使って歩く方もいる

中には車椅子の方もいらっしゃいます

「ランウェイを歩く」と聞くと
自分の足でスタスタ歩く姿を想像するかもしれません

でも、そうではないんですよね

それぞれが今の自分の状態に合わせて
あるいは今よりも少し移動する力を高めて
「この日にランウェイを歩く」ということを
目標に頑張ってこられたんです

中には「私はこの曲で歩きたい」と
ご自身で曲を選ばれた方もいらっしゃいました

2人、あるいは3人で一緒に歩いたり
一人では杖で歩くのが少し不安定な方は
デイサービスの職員さんと手をつないで歩いたり

そしてね、皆さん本当にニコニコなんですよ

ランウェイに登場する時には
デイサービスの職員さんがマイクを持って
一人ひとりを紹介してくださいます

普段の生活のご様子や趣味のこと

普段おっしゃっている言葉だったり
なぜこの曲を選んだのかだったり

日頃デイサービスで頑張っていることや
今日のファッションショーにかける
意気込みなんかも紹介されるんです

その方がどういう方なのか
どんな思いで今日ここを歩いているのかが分かるので
見ているこちらも
本当にあったかい気持ちになるんですよね

とっても素敵なファッションショーでした

きっかけを作ったのは、訪問美容の美容師さん

このファッションショーを主催されたのは
西部福祉センターの中にある
デイサービスさんです

そして最初に
「こういうことをやってみようよ」と
声をかけられたのが
実は美容師さんだったんですね

普段、このデイサービスに訪問美容で来られて
利用者さんの髪を切っていらっしゃる方です

ここのデイサービスでは
希望すればデイサービスの利用時間中に
髪を切ってもらって
そのままお風呂に入って
さっぱりしておうちに帰ることができます

これ、介護をするご家族にとっては
本当にありがたいことだと思うんですよね

美容院に連れて行くために
仕事を休む必要もない

自宅で訪問美容を利用するなら
その時間に家族が待っていなくては
いけないこともあります

家族自身が髪を切るのであれば
その後の片付けもしなくちゃいけないし
お風呂にも入れなくちゃいけない

介護の中で散髪って結構重労働です

でもここのデイサービスでは
希望すれば髪も切ってもらえる

利用する側、ご家族側からすると
とても助かるサービスだと思います

利用者さんのためにやりたい。でも制度上は…

ただね、ここには少し
制度上の課題もあります

実は私、以前このことを
一般質問で取り上げたことがあるんです

国のルールでは
デイサービス利用中に訪問美容を利用すると
その時間はデイサービスの利用時間として
算定できないんですね

介護保険のサービスを利用している時間の中で
訪問美容を利用すると
その時間分の介護報酬が算定できない

そのため、このデイサービスさんでは
美容師さんが来て髪を切っている時間については
その分、デイサービス側が
報酬を受け取れないという状況があるんです

言ってみれば、デイサービスさんが
少し泣いてしまっているような
仕組みなんですよね

それでも
「利用者さんのために何かやってあげたい」という思いで
この取り組みを続けていらっしゃいます

そんな制度的な背景もあるのですが
デイサービスのご厚意で続けているサービス

長年美容師として関わっている中で
普段髪を切っているおじいちゃん
おばあちゃんたちを見ながら

「もっと皆さんが喜ぶことはできないかな」

と考えて、レクリエーションとして
そしてリハビリの一環として

「ファッションショーをやったらどう?」

と施設長さん、センター長さんに
提案されたそうなんです

「それはいいね」ということで
センター全体で作り上げたのが
このファッションショーだったんですね

職員さんも一緒になって楽しんでいる

また、利用者さんだけじゃないんです

館長さんもデイの管理者も男性なんですが
その日は女装をされていてね

それがすごくきれいなんですよ

去年も美しかったけれど
今年はもっと美しかった(笑)

職員さん自身も、本当にイキイキしていました

職員さんが着る衣装も
利用者さんが「これ着なよ」と言って
作ってくださったり
飾り物を付けてくださったり

利用者さんだけが何かをしてもらう側ではなくて
職員さんも利用者さんも
一緒になって作り上げている

そこも、このファッションショーの
とても素敵なところだなと思いました

「何のために歩くのか」があること

私、この取り組み
岡崎市内のほかのデイサービスでも
また全国いろいろなデイサービスで
できるんじゃないかなと思います

なぜなら、介護予防にすごく効果があると
思うからなんですよね

今回のファッションショーを見ていて
改めて感じたのは
高齢者の方、特に介護が必要になった方を
単に「支えられる人」に
してしまわないということです

何歳になっても次の予定がある

人に見てもらう日がある

ちょっとおしゃれをして出かける場所がある

そういうことが
本当の意味での介護予防に
つながるんじゃないかなと思うんですよね

リハビリをする

機能訓練をする

もちろん、それ自体は大切です

でも、「自分の足で歩けるようになりましょう」
ということだけでは
人間なかなかモチベーションを保てないと思うんです

「一体、自分は何のために
これをやっているんだろう?」

そのリハビリ自体に意味付けがないと
なかなか頑張り続けることは
難しいんじゃないかなと思います

ランウェイそのものがリハビリなのではない

WHOでも、健康というのは
単に病気がない状態ということだけではなく
高齢になっても
その人が大切にしていることができる
機能的能力を維持することが
重要だと捉えています

そう考えると、今回のファッションショーも
ランウェイを歩くこと自体が
リハビリなのではないんですよね

「ランウェイを歩きたい」

「この服を着て、みんなに見てもらいたい」

「この曲で登場したい」

そう目標を持つことで
デイサービスを利用している時の運動や
おうちに帰ってからの
一つひとつの動きにも意味が生まれてくる

そこがすごく大事なんじゃないかなと思いました

そして、笑顔になっているのは
利用者さんだけではありません

それを支援している美容師さんもそう

デイサービスの職員さんもそう

センター全体で
この取り組みを応援している皆さんもそう

支える側にとっても
とても満足度の高い
イベントだったんじゃないかなと思います

何歳になっても「次の楽しみ」がある

今回は、岡崎の西部福祉センターで行われた
「西部シニアファッションショー」
についてお話をしました

本当に手作り感満載のファッションショーです

でも、だからこそいいんですよね

豪華な衣装や立派なステージがなくてもできる

利用者さんが自分のお気に入りの洋服を選んで
自分の好きな曲を選んで
「この日にランウェイを歩く」という目標を持つ

それだけでも、日々のリハビリや生活の中に
一つの目的が生まれます

こういう取り組みは
いろんなデイサービスさんや施設さんでも
できるんじゃないかなと思います

単に「運動しましょう」ではなくて
「何のために動くのか」

その先に楽しみがあること

何歳になっても、人に見てもらう日があって
おしゃれをして出かける場所があって
次の予定があること

それが、本来の意味での
自立支援や介護予防につながっていくんじゃないかな

そんなことを改めて感じた
西部シニアファッションショーでした

投稿者プロフィール

前田 れいこ
前田 れいこ企業と産業ケアマネを紡ぐ会 代表
岡崎市議会議員
株式会社わがんせ 代表取締役
・単独型居宅介護支援事業所あすなろケアプラン(岡崎市)
・単独型居宅介護支援事業所つむぐ支援センター(名古屋市)
一般社団法人日本単独居宅介護支援事業所協会 ケアマネジャーを紡ぐ会 副会長
共著「介護職よ、地方議員を目指せ!」出版
前田れいこ公式ブログ
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