年の瀬に海を越えて届いたうれしい報告

—— ソウル大学 × 岡崎 × 産業ケアマネ ——

年の瀬に海を越えて届いたうれしい報告
—— ソウル大学 × 岡崎 × 産業ケアマネ ——

こんにちは
愛知県の産業ケアマネ 金原洋子です

2025年 年の瀬に うれしい報告が届きました♪

2025年8月、韓国のソウル大学から3人の大学生が、
**「産業ケアマネの調査をしたい」**というメールをくれたことから、
今回のご縁は始まりました。

きっかけは、NHKの番組で耳にした
「産業ケアマネ」という言葉。
せっかく卒業旅行で日本に行くなら、
「調査・研究としても意味のある旅にしたい」と、
日本で調査できるテーマを探すなかで
ケアマネジャーを紡ぐ会のホームページに辿り着いたそうです。

やり取りはすべて日本語。
その丁寧な文章から、
この分野への強い関心と真剣さが伝わってきました。


2泊3日で7か所を訪問した視察

2025年8月27〜29日の3日間で、岡崎市での視察は進みました。

  • とはなす中央(岡崎市中央地域福祉センター)
     └ 介護予防教室「シニアのためのピアノ塾」などを見学。
      学生さん自身がピアノを弾いて場を和ませてくれる一幕もありました。
  • 訪問看護ステーション結び
  • グループホーム燦むつみ
  • あづま家デイサービス(運動特化型のデイ)
  • 愛知医科大学メディカルセンター(回復期リハビリ病棟の見学)
  • 岡崎市役所(介護保険課による「ごまんぞく体操」の説明)
  • 岡崎市(議場見学)


どの現場でも、学生さんたちは
「この事業の目的は?」「今の課題は?」「取り組みを進めるために何が必要か?」
といった、本質を突く質問を次々と投げかけていました。

市役所の職員さんからは
「日本語、大丈夫でしょうか?」と心配の声もありましたが、
まったくの杞憂。
説明を聞き、制度や現場の仕組みを理解し、
その上で日本語で質問する——
その姿に、現場側が驚かされる場面も多くありました。

また今回は、日本の大学生も同行しました。
移動の車中で同世代同士の会話が弾み、
一緒に出かけたり食事をしたりと、
国やことばを超えた若い世代のつながりが自然に生まれていきました。

この視察を通じてあらためて感じたのは、
「若い力の持つ影響力」 です。
施設の皆さんも「学生に学んでほしい」という思いで全力で対応くださり、
高齢者の方々も海外からの来訪をとても喜んでくださっていました。


約40ページの研究報告書、そして「優秀研究」受賞へ

視察を終えた学生さんたちは、
ソウルに戻ってから約4か月をかけて研究報告書を作成。

このたび、
「日本における介護制度と域内の共助の構造に関する研究:愛知県岡崎市を中心に」
というタイトルでまとめられた報告が、
ソウル大学の 優秀研究 に選定されたという、うれしい知らせが届きました。

全文は約40ページにわたるため、
日本語では要旨版を共有していただきました。

Screenshot
Screenshot


要旨によれば、研究では次のような点が示されています。

  • 岡崎市の介護システムは、
     市の政策設計・地域包括支援センター・医療機関・民間事業所が
     結びついた「共助のメカニズム」として機能していること
  • 「ご満足体操」のような住民主導の介護予防プログラムが、
     フレイル段階での早期介入やエイジング・イン・プレイス(AIP)に
     つながっていること
  • 働く家族介護者を支える産業ケアマネは、
     企業と公的福祉システムをつなぐ「通訳者・架け橋」として
     介護離職予防の代替策になりうること

日本の介護政策が、中央集権的な「一律のサービス提供」から、
地域ごとの特性を活かした分権的・協働的なモデルへと
進化しつつあることも指摘されています。研究報告書_要旨 ソウル大学

岡崎という一つのまちの取り組みが、
このように学術的な形で整理され、
海外の大学で評価されたことは、
現場で関わる一人としてとても大きな励みです。


ご協力いただいた皆さまへ

今回の視察と研究成果は、
地域で日々実践を重ねている多くの方々のおかげです。

  • 岡崎市中央地域福祉センター
  • 訪問看護ステーション結び
  • グループホーム燦むつみ
  • あづま家デイサービス
  • 愛知医科大学メディカルセンター
  • 岡崎市役所 介護保険課 ほか

お忙しいなか、質問に応じてくださり、
現場を開いてくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。


若い力がつなぐ、地域と世界と未来

今回の経験は、
国境を越えて若い世代が学び合い、
地域の力を引き出していくことの大切さ

あらためて感じさせてくれました。

ソウル大学のダインさん、ホジンさん、ユンホさん。
「岡崎が大好きになりました」という言葉を、私はきっと忘れません。

そして、彼らのこれからの歩みのどこかに、
岡崎での学びがそっと生きてくれたら——
そんな願いを込めて、今回のご報告とさせていただきます。

いつかまた、お会いできる日を楽しみにしています。


投稿者プロフィール

金原洋子
金原洋子
一般社団法人リョウリツ
産業ケアマネ1級
「仕事と介護の両立支援コンサルタント養成講座」 0期卒業生
主任介護支援専門員/社会福祉士/介護福祉士
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