「人生会議」は働く人にこそ必要です〜働く人の未来を守るACPのすすめ〜

仕事をしていると、日々の業務に追われて、家のことは後回しになりがちです。
親の体調が気になっていても、家族でその話をする時間が取れない。
「まだ元気だから」「縁起でもないから」と言いながら、
いざという時のことを話さないまま月日が経ってしまう、、、

私がケアマネジャーとして関わってきたご家庭でも、
「もっと早く話しておけばよかった」と感じる場面は少なくありません。
たとえば、入院や認知症の発症をきっかけに、
ご本人の希望が分からず、家族が迷いや葛藤を抱えるケースです。

そんな時に必要なのがACP(=人生会議)です。
今回は、働く人にとってのACPの必要性について書かせていただきます。

介護の前触れ

「そろそろ介護が始まるかもしれないけれど、どう備えたらいいか分からない」
そんなふうに思われている方が多いのではないでしょうか。

介護は、ある日突然やってきます。

しかし、実はその前に「予兆」があります。
実家から電話がかかってくることが多くなったり、病院付き添いの回数が少しずつ増えたり、、、

けれど、その段階では「まだ本格的ではない」と感じて、深く話し合う機会を持たないまま時間が過ぎていくことが多いのですよね。
まだこれはまだ介護ではない? いやいや、もう始まりかけているのです。

これが介護の「予兆」です。
ここで登場させて欲しいのが。AC Pです!

ACPは「もしもの話」ではなく「これから」の話

「人生会議」という言葉に、
「終末期の話をするのはまだ早い」と身構える方もいます。

でも本来のACPは、「どう生きたいか」「どんな支えがあると安心か」を語り合うこと。
つまり、「これからの生き方・働き方を一緒に考える時間」なんです。

たとえば、
「母は自宅で過ごしたいと思っているのか」
「誰にどんなサポートをお願いできるのか」
「いざという時、仕事をどう調整すればいいか」

そうした話し合いができているかどうかで、
介護が始まったときの安心感は大きく変わります。

働く人にこそACPが必要な理由

親の介護は、多くの人にとって「人生の転機」になります。
そして、その影響は家庭だけでなく、仕事にも及びます。

介護休業、時短勤務、在宅ワークなど、企業には支援制度が整いつつありますが、
実際にうまく使えている人はまだ多くありません。

その背景には、「親の希望が分からない」「話しづらい」
といった対話の不足があります。

介護を自分だけの問題として抱え込まず、家族と一緒に話し合い、職場にも共有していくこと。
それが、仕事と介護を両立する第一歩です。


そして、その対話のきっかけがACPなのです。

対話を支える「形」をつくりたい

私自身、ケアマネジャーとして多くのご家族と関わる中で、
「もっと早く話しておけばよかった」という言葉を何度も聞いてきました。
そのたびに、「話したいけど、どう始めたらいいか分からない」という壁を感じます。

そこで今、私は『よりそい結(ゆい)ノート』という対話をそっと後押しするノートを構想中です。

このノートは、一般的なエンディングノートとは少し違い、終わりのための準備ではなく
これからをより良く生きるための会話を生み出すことを目的としています。

内容も、「医療や介護の希望」だけでなく、
・大切にしている日常のこと
・支えになっている人や趣味
・家族に伝えたい感謝の言葉
・これからやってみたいこと
といった、話しやすいテーマから始められる構成を考えています。

書くことで自分の想いが整理され、誰かと見せ合うことで心の距離が少し縮まる。
そんなノートにしたいと思っています。

産業ケアマネとして伝えたいこと

職場でのACPは、まだ広く知られていません。
でも、実は企業の健康経営や両立支援の中でも、とても重要な位置にあります。

家族のことを安心して話せる職場
「いざという時どうする?」を気軽に話せる文化があれば、社員一人ひとりが安心して働き続けられる。

その環境づくりを支えるのが、私たち産業ケアマネです。
ACPを通して、家庭と職場をやさしく「結ぶ存在でありたい」
そして、働く人自身が「自分らしい生き方」を考えられる時間を届けたい。


ACP(人生会議)は、特別な人だけのものではありません。
働くすべての人にとって、自分と家族の未来を考える大切な時間です。

『よりそい結ノート』は、まだ形になっていません。
けれど、このノートを通して、
「話してよかった」「聞けてよかった」と思える瞬間が、少しずつ増えていくことを願い、作り上げていきたいと思っています。

職場でも家庭でも、人と人がよりそい、結ばれていくような対話を
それこそが、私たち産業ケアマネが目指す支援の原点です。


仕事と介護の両立を支える一歩として、
ACPを日常生活の中で話していきませんか。

私は産業ケアマネとして、働く世代の「介護の備え」や「仕事と介護の両立支援」に取り組んでいます。
企業での研修や、地域での講座を通して、
「介護する人も、される人も幸せになれる関係づくり」をお伝えしています。

詳しくはお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ

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投稿者プロフィール

辻 恵
辻 恵
産業ケアマネ2級
仕事と介護の両立支援コンサルタント養成講座 1期卒業生
ケアマネージャー歴 10年
社会福祉士
介護福祉士
保育士