仕事と介護の両立支援が必要な理由
介護の専門家として「改正育児介護休業法」をテーマに
産業ケアマネが事業主に代わり
仕事と介護の両立支援をする重要性についてお伝えします
令和7年4月から「改正育児介護休業法」が施行
産業ケアマネという資格が
これからどうして重要になってくるのかという話題です
来月、令和7年4月から「改正育児介護休業法」が施行されます
私は介護の専門家として、特に「介護」の部分において
事業主が令和7年4月からどのような点に
気をつけたらいいのかという視点でお伝えします
仕事と介護を両立する人の現状
まず、今この日本で家族の介護をする従業員の現状について
令和4年の調査では
仕事をしながら介護をしている人の数は365万人
しかもこれは正規職員だけの人数で
パートの方を合わせるともっと多いです
その上で、介護のために仕事を辞める
つまり介護離職をする人が
年間で毎年10万人ずついると言います
さらに、こうした介護による経済損失というのが
9兆円と言われています
この9兆円の中身は、介護離職による経済損失が1兆円
家族の介護のために従業員の仕事のパフォーマンスが落ちることで
残りの8兆円の経済損失となっています
実際に私がケアマネジャーをしていて
介護している家族の方からよくお聞きするのが
デイサービスや医者からの電話がかかってくるたび
本当にドキッとしてしまうということ
そしてメールをいつも気にしているということ
中にはデイサービスに行きたがらない親のために
Webカメラを設置して
いつでも自宅の様子を見られるようにした方がいらっしゃいました
その方は、最初は安心だったものの
だんだんそのカメラが気になってしまい
結局仕事のパフォーマンスが低下
ついには仕事を辞めてしまったといいます
そのくらい、家族の介護により
従業員の仕事のパフォーマンスが落ちるということは
現場では本当によく感じることです

「改正育児介護休業法」のポイント
冒頭でもお伝えしましたが
こうした仕事と介護の両立が難しい現実を受け
国が対策として「改正育児介護休業法」を施行します
この中身は大きく三つ
まず一つ目は
介護に直面した旨の申し出をした労働者に対する個別の周知
意向確認をしなくてはいけないということです
具体的には、その会社にある介護休業に関する制度や
介護両立支援制度等の内容
さらにはどのようにして申し出をするのかという方法を伝えること
そして介護休業給付金に対する情報提供をすることです
一つ目は介護に直面した従業員に対するアクションでしたが
二つ目は介護に直面する前のもっと早い段階
具体的にいうと40歳が想定されています
この40歳というのは、まだまだ親の介護は始まらないけれども
いつ起こってもおかしくないという世代
さらには介護保険の保険料の支払いが始まるのも40歳です
その段階で、会社は従業員に対する
情報提供をしてくださいという内容になっています
そして三つ目は、相談窓口設置など
介護離職防止のための雇用環境を整えるということ
企業に対し、こうした義務づけが令和7年4月から始まるのです
「改正育児介護休業法」の課題と企業の負担
ただ、資金や人員に余裕がある大企業では可能かもしれませんが
この日本はほぼ中小零細企業で成り立っている国です
そのような、人もお金もギリギリのところに
さらに「改正育児介護休業法」の改正が施行されるというのは
本当に負担になると思います
実際に従業員が事業主や人事担当者に相談してきたところで
具体的なアドバイスが本当にできるのかということなのです
産業ケアマネとは?役割と必要性
最近「産業ケアマネとは何ですか?」という質問を
よくされるようになってきました
産業ケアマネは在宅介護の専門家で
さらに介護離職防止に対するアドバイスを
企業にできる知識を有する資格です
具体的に何をするかというと
企業に行って従業員の介護教育、個別相談、全体の支援
そして個別の支援
これが産業ケアマネの仕事です
「在宅介護の専門家である」ということが
この産業ケアマネのミソとなります
その理由は、従業員の介護相談と一口に言っても
本当に介護は個別性が高く
家族構成も違えば、収入、財産、その介護の程度、疾病の状況
いろんな条件がミックスして
100人いたら100通りあるというのが介護の状況です
このような状況で、例えば事業主や人事担当者に相談されても
適切なアドバイスは難しいと思います
でも産業ケアマネというのは
元の資格が在宅介護を知り尽くしているケアマネージャーです
従業員が相談に来ると
今その人の家庭で親御さんに何が起こっているのかが
手に取るようにわかります
さらに、ここから先どういうことが起こってくるか
そのためにどういう対策をしたらいいかという
具体的なアドバイスができるのが
産業ケアマネの一番の強みだと思います
介護離職防止のためにはここがとてもポイントなのです

産業ケアマネが求められる理由
さらに介護休暇をただ付与するだけではなく
一番大事なのは
休暇を取った後どのようにして職場に復帰するか
そして復帰した後どのように両立を支援していくか
ここをアドバイスしていくのが、産業ケアマネという資格です
そういう意味でも
産業ケアマネが社会で果たす役割は今後ますます大きくなり
社会に求められる資格となっていくと思います
これからの時代、産業ケアマネという専門職が
より多くの企業に取り入れられ
介護を理由に仕事を諦める人が一人でも減ることを願っています
投稿者プロフィール

- 企業と産業ケアマネを紡ぐ会 代表
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岡崎市議会議員
株式会社わがんせ 代表取締役
・単独型居宅介護支援事業所あすなろケアプラン(岡崎市)
・単独型居宅介護支援事業所つむぐ支援センター(名古屋市)
一般社団法人日本単独居宅介護支援事業所協会 ケアマネジャーを紡ぐ会 副会長
共著「介護職よ、地方議員を目指せ!」出版
前田れいこ公式ブログ
詳しいプロフィールはこちら
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