家族と向き合う〜介護をきっかけに〜

私は毎週土曜日、働き盛りの世代に向けて「親の介護」についてお伝えしています。

今回は、親の介護を機に「家族と向き合う」ことについて書きます。

介護をきっかけに兄弟と不仲に?

ある女性のお話です。

近所に住む一人ぐらしの父親が倒れ、介護が始まりました。

女性は仕事帰りに父親の家に寄って、食事づくりや掃除などの家事

そして父親が入浴する際は見守りを行うなどの支援を行っています。

父親の状態は日に日に悪くなり、さらに介護が必要となってきました。

女性は、父親は一人暮らしは難しいので、自分の家に引き取ることを考えます。

しかし、女性の家にはまだ大学生の息子がいて、空いている部屋がありません。

そこで、隣町に住む兄に相談しました。

兄は離婚して一人暮らしです。

兄に父親を引き取ってもらえないかと持ちかけたのです。

しかし、答えは「No」でした。

仕事が忙しく、とても父親の面倒なんて見ることができない。

自分の生活で手一杯とのこと。

女性はそんな兄に対して

「長男のくせに無責任!」と言い放って、そのまま喧嘩別れしてしまいました。

家族会議

その後、女性は冷静になって考えてみます。

やはり、父親の介護については、自分一人では解決できない。

家族みんなで考えていかないといけない。

兄とも話し合わないといけないし、自分の家族、夫や息子にも理解してもらわないといけない。

家族みんなの問題として、介護を捉えないといけないということに気づきました。

誰が、どこで父親の介護を行うのか

経済的な支援をするのか

それらの決断は、やはり一人ではできません。

女性は、父親と兄を自宅に招き、父親の介護について話し合いすることにしました。

家族会議です。

介護の話し合いをきっかけに

元々女性と兄はそれほど仲が良かったわけではなく、年始やお盆、母親の法事でたまに顔を合わす程度でした。兄は仕事が忙しく、父親の家には滅多に来なかったのです。

介護が始まった直後も、ほとんど女性に任せきり。

女性はそんな兄に対して、最初は介護の協力を求めることを諦めていました。

しかし今回、父親の状態が悪化してさらに支援が必要になったため相談する事にしたのです。

兄の方はというと、疎遠になっていた父の介護、妹から無責任と言われてしまったが

やはり受け入れることはできません。

話し合いの場では、まず女性から兄に対して今までの経緯を話します。夫と息子も聞いていました。

その上で、今後女性一人では手に負えないというこを伝えました。

介護サービスは既に利用していますが、在宅介護においては家族の支援も必要なのです。

普段の生活の支援、病院の付き添い、ケアマネジャーや介護サービス事業所との連絡係など、家族それぞれにできることをみんなで考えました。

家族に何ができるのか考える上で、

兄の仕事の状況や普段の生活について

夫の仕事の状況、定年後の展望について

それから、息子の今後についてなど

父親の介護の話し合いの中で、父親には直接関係のないそれぞれの家族の状況を聞くことが出来ました。

介護の話し合いをきっかけに、それぞれの家族の人生に対する思いまで言い合えることが出来たのです

家族と向き合う

結局、父親自身が希望して、父親は今まで通り一人暮らしを続ける事になりました。

病院の付き添いは兄が仕事を休んで行い

年金の少ない父親に対して兄妹がそれぞれ経済的な支援を行い、その上で介護保険の介護サービスや自費の支援を増やす事にしました。

そして、女性は今まで通り会社帰りに父親の顔を見に行くようにしています。兄も時々寄ってくれるようになりました。

夫は、早く帰れる日には、女性の家の晩ごはんを作ってくれるようになりました。

元々夫は、女性が仕事、介護、家事との両立に悩んでいることに気づいていたのです。

息子は、将来的には家を出て一人暮らしをすると話しています。

状況によっては、息子の部屋に父親を招き同居することもできるかもしれません。

ただし、父親の病状や思いは変わっていく可能性があります。

そして、家族の状況や思いもこれから変わっていくかもしれません。

その時の状況に応じて、家族に何ができるのか何度も話し合っていく必要があると思います。

今回のケースは、父親の介護をきっかけに、それぞれの家族が「家族と向き合う」ことが出来たというお話でした。

しかし、今回のように介護の問題はスムーズに解決できないことが多いです。家族内のいざこざの原因になることもしばしばあります。

話し合いが出来なかったり、話し合いをしても決裂してしまうこともあるかもしれません。

やはり家族で話し合うことはしんどいです。面倒かもしれません。

それでも、親の介護が始まった際は、ぜひ話し合う機会を作ってください!

親の介護をきっかけに家族と向き合うことは、自分の人生をより良い方向に導く手段かもしれませんよ‼︎

私は産業ケアマネとして、企業の経営者及び人事担当の方々、そして一般の方を対象に介護セミナーを行っています。
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ポートフォリオとプロフィール
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最後まで読んで頂きありがとうございました。

投稿者プロフィール

辻 恵
辻 恵
産業ケアマネ2級
仕事と介護の両立支援コンサルタント養成講座 1期卒業生
ケアマネージャー歴 10年
社会福祉士
介護福祉士
保育士