介護のキーパーソン

産業ケアマネの辻です。

企業と産業ケアマネを紡ぐ会ブログ、土曜日担当です。

今回は、ケアマネージャーとして経験した実際の事例を挙げ、介護におけるキーパーソンについて書いていこうと思います。

連絡方法

「私が電話に出ない時は妹に、妹が出ないとい時はその下の妹に連絡してください」

初めて長女様にお会いした時に言われました。

要介護2のご夫婦。二人とも日常生活に支援が必要な状態ですが、なんとか二人暮らしを続けておられます。お二人の子ども様、三姉妹は、市内在住で交代で買い物や身の回りの世話をしに来てくださっています。

介護サービスについて話し合う担当者会議の時も、三姉妹のうち誰かが必ず出席してくださいます。

ご夫婦も、娘様たちが来てくれるのを心待ちにされていて、

「娘がやってくれるから」と訪問介護などのサービスは断られていました。

ただ、娘様たち、皆さん正社員として働いておられます。

なので、昼間にケアマネージャーから電話をしてもなかなか連絡がつきません。

私の会社では、基本LINEなどでの連絡は、ご家族とはしないことになっているので、結構面倒なことがあります。

もちろん急を要する時は、職場に連絡させてもらうこともあります。

ただ、普段のモニタリングの連絡や些細なことで連絡する場合

結構困ることがあるんです。

また、三姉妹のご意見がなかなかまとまらず、家族としてのご意見をお聞きするのに時間を要することがよくありました。

キーパーソンとは?

この三姉妹のうち一体誰がキーパーソンなのでしょう?

そもそもキーパーソンとは?

介護におけるキーパーソンは、一般的に本人の一番短な親族が担うことが多いです。

キーパーソンは、介護される人の意思決定を支援したり、ケアマネージャーや介護サービス事業所との連絡の窓口になったり、介護の方針を相談する役割を担います。

また、介護に関する事務的な手続きや、介護サービスの利用料の支払いを介護される人に代わって行うこともあります。

介護の意思決定については、介護される本人の意向を最優先しますが、意思表示ができなかったり難しい場合、誰かの助けが必要になります。

その場合は、キーパーソンが文字通り「鍵」となって

本人にとって何が必要か、何を優先すべきか考えないといけないのです。

なのでケアマネージャーや介護サービスを行う事業所もキーパーソンの意見を必ず聞きます。

とはいえ、キーパーソンが本人に代わって全て決めてしまうのではありません。

キーパーソンには法的権利はないのです。

介護は、家族を含め、ケアマネージャー、介護サービス実施する職員、主治医、その他の関係者などチームを形成して、実施されます。チーム支援です。

キーパーソンは、この介護するチームの中心になる人というわけなのです。

キーパーソンとしての認識

冒頭のご夫婦の事例では、ケアマネージャーとの契約時にご家族にキーパーソンについて伝えました。三姉妹のうち誰か一人が代表になって頂くようにと伝え、長女様が代表でキーパーソンになって頂くことになったのです。

ただ、長女様としては、すべて自分が担うのは荷が重すぎる、三姉妹で何でも話し合って決断したいというのが本音のようでした。

連絡についても、平日は仕事で携帯に出ることができないので、他の姉妹に頼まれることも多かったのだと思います。

キーパーソンが他の家族の意見を聞くことは何の問題もないですし、むしろ後のことを考えれば、勝手に決断するよりは問題が少なくなると思います。

例えば、医療的なサービスや自宅から施設介護への移行など

介護される人にとって、病状に関わることや今後の生活に関わる重要な決断をする時には

キーパーソンは簡単には決断できないと思います。

ただ、この決断にスピード感が必要なことがしばしばあります。

介護される人の状況から、早めに対応しないと手遅れになる

なんてこともしばしばあるのです。

ケアマネージャーとして私は、今回の事例では以下のように対応しました。

・三姉妹のキーパーソンは長女様のままで、連絡はやはり長女様が優先。緊急でない限りは長女様の携帯の留守番電話にメッセージを残し、昼休みや仕事終わりに折り返してもらう。緊急時は長女様の職場に連絡をする。

・重要な決断をして頂く際、三姉妹で話し合われるのは変わりなく、返答を頂く期限(具体的ない日程)を設けてお伝えするようにする。

簡単な約束事ですが、連絡方法を変更して、姉妹の話し合いの結果の返答の期限を決めることで、ケアマネージャーとして、スムーズに支援ができるようになりました。

おそらく、長女様はキーパーソンの役割を新たに認識されたことと思います。

仕事をしながらキーパーソンを担う

もともとキーパーソンに特に約束事はないのです。

ただ、介護される人も介護する人も安心できる状態を保つために、キーパーソンは重要な役割を担います。

今回の事例では、ケアマネージャーとして、長女様に対してどのようにキーパーソンとして認識を持って頂くかを考えて、対応したまでです。

そう考えると、仕事をしながらキーパーソンを担うのは大変ですよね。

仕事中にケアマネージャーから電話が入って、仕事の手が止まり、パフォーマンスが低下するなんてこともあり得ますよね。

もし、自分が家族の介護のキーパーソンとなったら

まだ介護が始まっていない人、特に仕事をされている方々は自分が担えるのか心配ですよね。

また、現在実際に仕事をしながら介護のキーパーソンとしての役割を担われている方々、仕事との両立に悩まれることもあるかと思います。

介護のキーパーソンについて産業ケアマネがご相談に乗ります。

企業の従業員様の個別面談を実施しています。

まずは、メールでご相談ください。

↓  ↓ ↓ ↓

cm.megumi0925@gmail.com

最後まで読んで頂きありがとうございました。

投稿者プロフィール

辻 恵
辻 恵
産業ケアマネ2級
仕事と介護の両立支援コンサルタント養成講座 1期卒業生
ケアマネージャー歴 10年
社会福祉士
介護福祉士
保育士