親の価値観と向き合う〜ゴミ屋敷の親を抱えて〜

こんにちは土曜日ブログ担当の辻です。

本日は、親の価値観との向き合い方についてお話しさせて頂きます。

価値観というのは、元々の性格に加えて生まれ育った環境にも左右され

人それぞれ千差万別ですよね。

特に、世代間では価値観に大きなギャップがあると思います。

自分の親についても、このギャップのせいで意見が衝突するということはないでしょうか?

物に囲まれた利用者様

物に埋め尽くされた部屋の隅で、どう考えても捨てた方が良いものに囲まれて、70代の女性は小さくなって寝ておられました。

私がケアマネジャーとして関わった利用者様のお話です。(個人情報保護のため一部変更しています)

いわゆるゴミ屋敷に住んでおられました。

ご主人は亡くなられ、長年一人暮らしをされてきました。

お子さんは一人、息子さんが結婚して他県で暮らしておられます。

遠方ということもあり、年に数回帰ってくる程度とのこと。

地域包括から依頼されて、私は玄関からも溢れるゴミを避けながら、ご本人の状態を確認するために訪問しました。

認知症の症状は見られず、それなりに一人暮らしを続けておられる。ただ、年齢とともに筋力が衰え歩行が少し不自由な状態でした。

足元にこれだけ物が散乱していると、躓いて転倒される恐れがある。

「少し片付けましょうか?」

何度も提案しましたが「自分の手の届く範囲に必要なものを置いているので、どかして欲しくない」と仰るばかり。

息子さんはこの状態をどう思っておられるのだろう?

親の価値観が理解できない

ようやく息子さんと会う機会ができました。

お話しするのは、ご本人宅では難しいとのことで事務所で会うことになりました。

「もともと物が捨てられない人で、どんどん物を溜め込んであんな状態になったんです。何度も片付けるように言ったんですが、その度に喧嘩になってしまう。今は半分諦めている状態です」

50代の息子さんは、伏し目がちに申し訳なさそうに話されます。

「息子さんも心配で、困られているのですね」

今は目立った症状は見られませんが、やはりあそこまで物に執着されるのは何らかの認知症がある可能性もあります。

介護保険を利用してサポートしていく必要があります

私は訪問介護(介護ヘルパー)に定期的に訪問してもらうようにして、少しづつ家を片付けていくことを提案しました。

ただ、ご本人の生活を支援するためには、やはりご本人の価値観に向き合う必要があります。

ご本人の了解なく、勝手に物を捨てることはできません。

しかし息子さんは、顔をあげてはっきり仰いました。

「母の価値観が理解できないんです!」

親の価値観を「理解する」のではなく「受け入れる」

「昔は物が少なく、古くなって傷んだ物も、何度も繰り返し修理して使っていた」

高齢者の方がよく仰います。

物を大切に、何でも簡単に捨てない

昨今の使い捨て時代から考えると、とてもエコで環境にも優しい

素晴らしい考え方だと思います。

「いつか使えるかも知れないと取っておく」

これも高齢者の方が良くされることです。

でも結局使わず、要らないものがどんどん溜まっていく。

それでも、物に囲まれていると安心する。

ゴミ屋敷というのはその極端な例で、認知症などの疾患が影響していることもあります。

ただ一概に「高齢だから」とか「認知症だから」というだけでなく、物を捨てられないというのは、その人個人の価値観なのだと思います。

それは、時には家族であっても理解できない!

親が高齢になって介護が必要になった時、

自宅に物が溢れて生活しづらい状態になっていることに、改めて気付くことがあります。

さらに、認知症になった親の物を、本人に確認せず家族が全部捨ててしまうとどうなるでしょう?

親のことを考えてのことだと思いますが、その後、本人の認知症の症状が悪化してしまうことがあるのです。

無駄の物を捨てて環境を整理すると、認知症の方の場合、急に生活環境が変化して混乱されるのです。

また認知症でなはない方の場合も、良かれて思って家族が家を整理した際には

自分の居場所を無くしたように思われることもあるようです。

自分の家には、自分の価値観で積み上げた歴史があるのかも知れません。

高齢になって、介護が必要になってからは安全に介助されやすい環境を作ることが優先されます。

家族や介助者がその役割を担います。

そんな時、本人の価値観を無視できないのです。

「どう考えても捨てた方が良いもの」についても本人に捨てるべきか相談する必要があるんですよね。

これは、家族にとって難しいことだと思います。理解できないのですから、、、

理解するのは諦めて、受け入れるしかないのかも知れません。

本当に生活を脅かす、周囲の人に迷惑がかかる、命に関わる物については本人を説得してできるだけ早く取り除く。

後は生活しづらくしている要因を、本人と話し合いながら時間をかけて取り除いていくしかないと思います。

もちろん、家族だけでは大変なので、ケアマネジャーと相談してください。

他の家族とも話し合ってください。

あくまでも、親の価値観に寄り添い受け入れて、親の介護に挑む必要があるのでしょう。

家族一人が抱え込まないで

いざ親の介護が始まったら、こうした親の価値観と向き合わざるを得ませんが

これは、本当に大変な作業だと思います。

親子だとどうしてもぶつかって、今回の事例の方のように喧嘩になってしまうこともあるでしょう。

親の生活は親の価値観が全て支配しています。子どもはそれを受け入れて、少しでも親の生活が良くなるように寄り添うしかないのだと思います。

そして介護は、介護される親の生活の全てを家族が背負うということではありません。

前述したように、ケアマネージャーに相談するなど、誰かに頼ってください。

親の介護を一人で抱え込まないでください!

ケアマネージャー、そして関わる介護サービスの担当者、医療関係者と一緒に

親の価値観に向き合いましょう。

そして、もしあなたが仕事をしながら介護をしているのであれば

産業ケアマネが、相談に乗ることもできます。

親との関係性で苦労している方、近くにいる誰かにまずは相談しましょう!

私は産業ケアマネとして、企業の経営者及び人事担当の方々、そして一般の方を対象に介護セミナーを行っています。

ご興味のある方は、下記までお知らせください!

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cm.megumi0925@gmail.com

ポートフォリオとプロフィール

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https://note.com/cm_kinako/n/n1809272508c7

投稿者プロフィール

辻 恵
辻 恵
産業ケアマネ2級
仕事と介護の両立支援コンサルタント養成講座 1期卒業生
ケアマネージャー歴 10年
社会福祉士
介護福祉士
保育士