生活の質を守るということ〜介護される人も、介護する家族も〜
先日行った「介護カフェ」で出会った方の中に
企業を退職後の方々のQOLの向上を目指して活動されておられる方がおられました。
この方自身も大手企業を退職し、人生経験豊富なエネルギッシュな方で、とても勉強になるお話を聞かせて頂きました。
QOL(キュー・オー・エル)とは、「Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)」の略で、日本語では「生活の質」や「人生の質」と訳されます。単に長生きすることや病気がない状態を指すのではなく、「その人が人間らしく、自分らしく、満足して暮らしていけているかどうか」に重点を置いた考え方です。
果たして、介護が必要になってから、QOLを守ることはできるのでしょうか。
また、介護する家族のQOLについても考えたいと思います。
生活の質とは「その人らしさを取り戻すこと」
「QOLを高める」とは、何か特別なことをすることではありません。
介護が必要になっても、その人らしい日常を取り戻すことが、何よりの生活の質の向上につながります。
たとえば、要介護状態になっても、家でお茶を入れて好きなテレビを見る。
友人と電話をする。
昔のアルバムを開いて会話する。
住み慣れた自宅で自分のペースで生活をする。
こうした当たり前が続けられるように支援することが、私たちケアマネジャーの役割です。
でも、この「その人らしい暮らし」は、実は介護する人の生活が安定してこそ成り立つものだと、日々痛感しています。
家族の生活も、同じくらい大切
「仕事を辞めて親の介護に専念するつもりです」という方が増えています。
親のことを思っての決断であることは、痛いほど伝わってきます。
でも、私は必ずこうお聞きします。
「本当に、辞めないと介護できない状況でしょうか?」
介護は、1週間や1か月で終わるものではありません。数年にわたることも少なくありません。
その間、収入が途絶え、社会とのつながりも失われ、介護疲れと孤独が重なると、共倒れのリスクが高まります。
介護の質を高めるには、まず介護する家族の生活を守ることが必要です。
仕事を辞めるのではなく、「仕事を続けながら介護を両立する」道を考えてはどうでしょう。
両立を支える制度やサービス
実は、仕事と介護を両立するための制度や支援は、想像以上に整っています。
- 介護休業制度・介護休暇
- 時短勤務・フレックスタイム制度
- 訪問介護、デイサービス、ショートステイなどの介護サービスの利用
- 地域包括支援センターや産業ケアマネとの連携
たとえば、ある娘さんはフルタイムの仕事を続けながら、在宅介護を行っていました。
ご本人には日中にデイサービスを利用していただき、夜間や休日の介護は娘さんが担当。
それでも負担が大きくなる時期は、短期入所(ショートステイ)や家族交代の仕組みを取り入れ、少しずつペースを調整していきました。
結果的に、「介護を理由に退職せずにすんで本当に良かった」と言ってくださいました。ご本人も、「娘が笑顔で仕事を続けているのが何より嬉しい」とおっしゃっていました。
誰かが犠牲になる介護をしないために
「介護のために自分の人生を諦める」――それは本当にご本人の望む姿でしょうか。
多くの高齢者の方が、「子どもに迷惑をかけたくない」「自分のせいで仕事を辞めてほしくない」と思っています。
生活の質とは、介護を受ける人も、支える人も、自分らしく生きられること。
私は、その両方の「らしさ」を支えるケアを心がけています。
介護を理由に誰かが我慢し続けるような構図を変えていくために、制度を知り、支援を受け、家族だけで抱え込まないことが、QOLの第一歩なのではないでしょうか。
産業ケアマネは、仕事と介護の両立をサポートします。詳しくは下記へお問い合わせください。
私は産業ケアマネとして、企業の経営者様及び人事担当者様、そして一般の方々を対象に介護セミナーを行っています。
また、企業向けに『仕事と介護の両立サポートプログラム〜介護する家族に寄り添う会〜』を提供し、仕事と介護の両立を目指す職場づくりを、企業のパートナーとして支援しています。
詳しくは下記をご覧ください。
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https://docs.google.com/document/d/1Ha9sTImbPJNpwPNtqBuiks2QInl34J9E_hequjrbZg8/edit?tab=t.0
お問い合わせは下記まで
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https://forms.gle/S4SKvoPkYq2n9ZaB6
最後まで読んで頂きありがとうございました。
投稿者プロフィール

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産業ケアマネ2級
仕事と介護の両立支援コンサルタント養成講座 1期卒業生
ケアマネージャー歴 10年
社会福祉士
介護福祉士
保育士
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