平均4年11ヶ月、介護を続けるために知っておきたいこと

兵庫県で活動している 産業ケアマネ 片岡です。

「平均4年11ヶ月」
これは、介護が始まってから終わるまでの平均的な期間と言われています。

介護のお話をするときによく使うこの数字、あらためて「少しがんばれば何とかなる期間」ではないと思うのです。

介護は“長期戦”。だからこそ、最初の選択がカギを握る

介護の約半数が、”突然始まる”と言われています。

親のケガ、認知症の診断、入退院をきっかけに、
「とりあえず自分がやれる範囲で…」と、がんばって始める方も少なくありません。

でも、ここにこそ落とし穴があります。

最初に家族ががんばりすぎると、
気づけば「介護の中心が”ずっとその人”になってしまう」ことがあるのです。

家族が「基本」になると、なぜ危ないのか?

私がこれまでに支援してきた中でも、このパターンで苦しんでいる方が本当に多くいました。

  • 介護される本人が、「この人がそばにいるのが当たり前」と思ってしまう
    (だんだんとお互いの関係もギスギス…)
  • 他の家族が「〇〇がやってくれているから」と距離を置く
    (すっかり任せきりにしてしまうこともあれば、他の家族が入り込めなくなることも)
  • デイサービスやショートステイ等を介護される本人が「行きたくない」と拒否
    (「なんで家族がそばで見てくれているのに行かなきゃいけないの?」と介護サービスを利用して他人に介護してもらう必要がないと思ってしまう)
  • 周囲からの「嫌がっているサービスを利用させるなんて可哀想」との声
    (家族介護が当たり前になったことで外部サービスを使うことに対し『そんなの可哀想』という声が出てくることも)

こうなると、“支援のかたち”を後から変えるのがどんどん苦しくなってきてしまいます。

家族に“固定された役割”ができてしまう前に

例えば、一昔前は介護を「家族がやるもの」「嫁がやるもの」「妻がやるもの」などといった空気が確かにありました。
親も、家族も、きょうだいも、介護者本人も、それが“当たり前”だった時代があったんです。

また、最初は「良かれと思ってやったこと」が、いつの間にか“当然の役割”として定着してしまう。
(これは、家庭内の家事分担にも少し似ていますね…。)

でも、今は時代が違います。

共働きが増え、男女や長男や長女など関係なく、仕事と介護を両立する必要が出てくるかもしれない。
介護を抱える立場になる人自身が、思い込みや価値観から抜け出すチャンスを持てる時代なんです。

ケアする人が潰れてしまうのが一番つらいパターン

どれだけ大切な親でも、「全部自分がやらなきゃ」と背負いすぎると、必ず限界がきます。

体調を崩したり、メンタルが不安定になったり、仕事が立ち行かなくなったり…。
そうなってしまえば、支えたかったはずの本人の暮らしも不安定になります。

「誰のための介護だったのか?」
そう自問しながら、涙をこぼされた方も何人もいらっしゃいました。

思い込みを手放す——それが、自分も家族も守る第一歩

介護が始まるとき、多くの人が「何とかしなきゃ」と直感的に動き始めます。
突然の出来事に、心も体もついていかず、
とにかく“できることから”と家族が走り出す——そんな姿を、私はたくさん見てきました。

でも、だからこそ思い出してほしいのです。

「家族がやるべき」「私がやらなきゃ」という思い込みを、少しだけ手放してもいいんだということ。

介護は一人では抱えきれません。
もし「どうしていいかわからない」と立ち尽くしてしまったら、そんなときにこそ、産業ケアマネが寄り添えたら——と、心から思っています。

パニックになりがちなその瞬間に、落ち着いて「いま必要な支援は何か」「会社とどう調整するか」「制度は何が使えるか」一緒に考えてくれる人がいるかどうかで、その後の道のりは大きく変わってきます。

平均4年11ヶ月。
この長い介護の時間を、自分も家族も大切に過ごしていけるように

介護は、誰にとっても初めての経験です。
自分自身のキャリアも、家族の生活も守るために、“抱え込まない選択肢”を持っておいてもらえたら嬉しいです!

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私、産業ケアマネ 片岡
主に兵庫県の企業様を対象に「仕事と介護の両立支援明石事務所」を運営しています。
社内セミナーや社内実態調査、介護に直面する従業員への個別面談などを通じて仕事と介護の両立を支援
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投稿者プロフィール

片岡芳美
片岡芳美
産業ケアマネ2級
仕事と介護の両立支援コンサルタント養成講座 2期卒業生
介護業界21年
社会福祉士/介護支援専門員
仕事と介護の両立支援明石事務所 2024年11月開設