介護サービスが足りない時代に、“家で安心して暮らす”という選択
介護人材不足が進む中、望んだ通りの介護サービスが受けられないという声が増えています。
特に都市部では、訪問介護・通所介護・ショートステイなどが「空き待ち」状態になることも珍しくありません。
それでも、「できる限り自宅で過ごしたい」という本人の希望を叶えるために、私たちにできることは何でしょうか?
産業ケアマネとして今回は、“人が足りない”状況でもできる、在宅生活の支援方法についてご紹介します。
介護サービスが“受けられない”現実
介護保険制度は、高齢者が地域で安心して暮らすための大切な仕組みです。
しかし現在、全国で約32万人の介護人材が不足していると言われており(厚労省)、
介護保険サービスを利用しようと思っても、
- 訪問介護が受けられるのは週1回のみ
- 通所施設に空きがなく待機状態
- ショートステイの予約が取れない
というケースが多くなっています。
つまり、「介護保険はあっても“使えない”」という状況が現実になっているのです。
「制度があっても、支えてくれる人がいない」
「だから、介護は“家庭でなんとかする”しかない」
そうした声が今にも聞こえてきそうです。
見守り”は、人の手だけではない時代へ
在宅介護を続ける上で、もっとも多い不安は「何かあった時に気づけるか」です。
転倒・外出・夜間の徘徊など、誰も見ていない時間帯に起こるトラブルはリスクになります。
そこで、注目されているのが IOT機器(インターネットとつながる介護機器)の活用です。
✅ スマートロック:徘徊対策として外出時に通知が届く機能付きの鍵
✅ 人感センサー:一定時間動きがないと家族に通知が届く
✅ 見守りカメラ:スマホでリアルタイムに自宅の様子を確認できる
✅ 温度・湿度センサー:熱中症予防や寒さ対策に活用できる
これらは、24時間誰かが見守っているわけではない在宅介護の“穴”を補う手段です。
介護職や家族が常にそばにいられないからこそ、「機器のサポート」が有効です。
「IOTは、機械じゃなく“もう一人の見守り手”なんです」
在宅で安心して暮らす”ために、今できること
介護人材不足が深刻化している今、
「施設に入居する」「人手を確保する」以外の選択肢も、しっかり検討すべき時代です。
在宅生活を少しでも安全・安心なものにするために、
✅ IOT機器を取り入れる
✅ サービスの“空き”を早めに調べておく
✅ 近隣・親族・地域包括支援センターと早めに連携を取る
といった備えが重要です。
また、企業側も産業ケアマネを通じて、
- 働く人が「安心して介護と仕事を両立」できる
- 適切な情報やツールを手に入れられる
そんな環境整備が求められています。
「介護サービスが足りないなら、“できる工夫”を増やしていく」
それが、これからの介護に必要な視点です。
まとめ
✅ 介護保険制度は人材不足により“希望通りに使えない”ことがある
✅ IOT機器を使えば、人手がなくても“見守りの質”を補うことができる
✅ 在宅生活を続けるためには、情報と準備、そしてテクノロジーの活用が不可欠
「人が足りないから、無理」ではなく、
「人が足りないからこそ、できる工夫を探す」――
それが、今後の介護を支える私たちの知恵になるはずです。
投稿者プロフィール

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大学卒業後、営業職・飲食業をへて介護業界へ。ホームヘルパー2級を取得後にグループホームでキャリアをスタート。
介護福祉士を取得し病院、ケアマネージャーを取得して老健・居宅支援事業所で働き、15年間の経験を元に、昨年7月株式会社介護屋ごとう、本年2月からはワントップパートナー札幌麻生店を設立。
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