人間万事塞翁が馬――介護を前向きにとらえる視点
~備えることで、私たちは対応できる~
ことわざに学ぶ「思いがけない未来」への向き合い方
「人間万事塞翁が馬(にんげんばんじ さいおうがうま)」
これは、中国の古い故事成語で、「人生における幸・不幸は予測できない。よいことが悪いことにつながることも、悪いことがよい結果をもたらすこともある」という意味です。
まさに、介護の場面ではこの言葉がぴったり当てはまると感じます。
突然始まる介護、思いがけない家族の変化、そして仕事との両立に悩む日々。
けれど、そんな中でも事前に備え、心の余裕と情報を持っておくことで、必要以上に慌てずにすむ道もあります。
このブログでは、「人生に何が起こるかわからない」からこそ、「備える力」が介護離職を防ぎ、両立支援につながることを3つの視点からお伝えします。
介護は突然始まる――でも準備していれば慌てない
介護は、ある日突然始まることもあります。
「まさか自分の親が倒れるとは…」と、誰もが思います。
でも、統計では年間約10万人が介護離職しており、多くの人が備えがないまま仕事を辞めざるを得ない状況に追い込まれています。
これは決して他人事ではありません。
「うちの親は元気だから」「まだ先の話だと思っていた」――そう感じている時こそ、“何かあったときどうするか”を考えておく必要があります。
人生に予測不可能な出来事はつきものです。
「万が一」を想定しておくことで、不安は「行動」に変えることができます。
備えは安心につながる――ツールや制度を使いこなそう
「人間万事塞翁が馬」の意味の通り、起きたことが不幸かどうかは“その後の向き合い方”で変わります。
介護が始まったとしても、それを悲観だけで終わらせないためには、“備え”が力になります。
例えば――
- 親と「介護が必要になったらどうするか」を話しておく
- 「もしもノート」「エンディングノート」を活用して、意向を見える化する
- 職場の休暇制度や相談窓口について調べておく
- 産業ケアマネなど専門職とつながっておく
これらは、介護が始まる前にできる大切な準備です。
“知らない”ことで慌てるより、“備えてある”ことで安心して動ける――。
その違いはとても大きいのです。
人生の転機を「成長のチャンス」に変えるために
介護は確かに負担です。けれど、同時に家族の絆を見つめ直すきっかけや、自分の働き方を考える節目にもなります。
「人間万事塞翁が馬」の言葉のように、つらい出来事が新しい価値を生む可能性もあるのです。
ただし、それを「よい転機」に変えるためには、職場や社会の理解、そして制度の支えが必要です。
働きながら介護できる仕組みづくり――それが今、強く求められています。
産業ケアマネは、そんな両立の支援者です。
「どうしたら辞めずにすむのか」「職場にどう伝えるか」「使える制度はあるのか」――
一人では不安なことも、専門職と一緒に考えれば道が見えてきます。
まとめ
介護は、誰にでも訪れる“人生の試練”です。
でも、「人間万事塞翁が馬」ということわざのように、見方を変えればチャンスにもなり得ます。
予測できない未来だからこそ、今からできる備えを。
その一歩が、あなたの仕事と家庭、そして人生を守る力になります。
産業ケアマネとして、これからも「その一歩」を支えていきます。
投稿者プロフィール

-
大学卒業後、営業職・飲食業をへて介護業界へ。ホームヘルパー2級を取得後にグループホームでキャリアをスタート。
介護福祉士を取得し病院、ケアマネージャーを取得して老健・居宅支援事業所で働き、15年間の経験を元に、昨年7月株式会社介護屋ごとう、本年2月からはワントップパートナー札幌麻生店を設立。
最新の投稿
コラム2025年6月20日人間万事塞翁が馬――介護を前向きにとらえる視点
コラム2025年6月13日“両立”は孤独ではできない──仕事と介護で守るもの
コラム2025年6月6日その離職、会社全体の損失かもしれません──ベテラン社員の介護離職がもたらす“静かな崩壊”
コラム2025年5月30日介護離職を防ぐ職場の第一歩──会社に“もしも”を共有する仕組みとは?