人手だけに頼らない介護へ――“見守り”の選択肢を広げるために

「介護サービスがすべてではない」という気づき

介護の現場では、どうしても「ヘルパーさんに来てもらう」「施設に入居する」といった人の手による支援に頼りがちです。
ですが、先日ご紹介した90代男性の実体験からも分かるように、介護サービスや施設に入っても、すべてが安心・快適とは限りません。

人手不足の影響もあり、介護保険サービスだけでは、常に「その人らしい暮らし」を守りきれない場面も増えています。
だからこそ今、「人が見守る」から「テクノロジーも含めて見守る」という発想の転換が必要です。

見守りテクノロジーがもたらす安心感

最近では、センサー、見守りカメラ、スマートロックなど、マンパワーに依存しない“見守りテック”が次々と登場しています。
例えば、以下のような機器があります:

  • 人感センサー・ドアセンサー:動きが一定時間ないと通知される
  • ベッドセンサー:離床・就寝のタイミングを自動記録
  • スマートロック:外出・帰宅の管理や遠隔解錠が可能
  • 見守りカメラ:カメラでの常時確認だけでなく、AIが異変を通知

こうした機器は、プライバシーに配慮しながらも「見守られている安心感」と「離れていても把握できる安心感」の両方を提供してくれます。
特に一人暮らしの高齢者や、夫婦のどちらかが介護状態にあるご家庭には、大きな支えとなります。

「人」と「テクノロジー」の共存で、未来の介護を変える

見守りテクノロジーは、人を置き換えるものではなく、支える手段です。
介護保険サービスや施設の支援も大切ですが、それだけに頼るのではなく、「自分たちに合った見守りの形」を選べるようにすることが、これからの備えになります。

また、仕事を持ちながら親の介護に関わる世代にとって、これらのツールは両立支援の強い味方です。
24時間張りつくことはできなくても、「ちゃんと見守っている」という安心感が、仕事への集中や生活のゆとりを生みます。

私たち産業ケアマネは、こうした「新しい選択肢」を一緒に考えていきます。
「介護保険だけでは足りない」と感じている方にこそ、見守りテクノロジーの可能性を伝えていきたいと思います。





投稿者プロフィール

後藤利英
後藤利英
大学卒業後、営業職・飲食業をへて介護業界へ。ホームヘルパー2級を取得後にグループホームでキャリアをスタート。
介護福祉士を取得し病院、ケアマネージャーを取得して老健・居宅支援事業所で働き、15年間の経験を元に、昨年7月株式会社介護屋ごとう、本年2月からはワントップパートナー札幌麻生店を設立。