両立支援の出発点は「気持ちを大切にすること」
仕事と介護の両立において、多くの人が最初に考えるのは「介護サービスは何を使えばいいか」「会社にどう相談するか」
という実務的なことです。
もちろんそれらはとても大切ですが、もっとも大切なのは“親と自分、双方の気持ち”をしっかり見つめることです。
親は本当はどうしたいと思っているのか、自分は介護をどう捉えているのか。
この「想いの共有」がないままに両立を進めると、あとから後悔したり、すれ違いが起きたりしやすくなります。
まずは、“介護の話をする前に、親の気持ちに耳を傾ける”という意識を持つことが、両立への第一歩です。
親の想いを知るための「日常会話」のヒント
「親の気持ちを聞く」と言っても、いきなり「将来どうしたいの?」と聞いても、本音は出てきません。
大切なのは、普段の何気ない会話の中にヒントが隠れていることです。
たとえば、
- 「最近、体調どう?」ではなく、「最近、何が楽しみ?」と聞いてみる
- 昔話を聞く中で、「あの頃はどんな夢があったの?」と尋ねてみる
- 「家で過ごすのが好き?それとも外に出たいタイプ?」と日常の好みを聞いてみる
こうした問いかけは、親の価値観や、今後どう過ごしたいかを探るきっかけになります。
正解を引き出す必要はありません。話す時間そのものが、信頼関係をつくる第一歩です。
「答えを出す」より「一緒に考える」スタンスで
親の想いが少しずつ見えてきたら、つい「じゃあ、こうしよう!」と決めたくなるかもしれません。
でも、介護は“決定”ではなく“対話の連続”です。
「こういう選択肢もあるよ、どう思う?」と問いかけながら、一緒に考えていく姿勢が、親にとっても安心になります。
そしてその姿勢は、仕事との両立において職場への相談をする時にも役立ちます。
一人で抱え込まず、親と、家族と、そして職場とも“対話を続けること”。
それが、心が折れない両立の土台になります。
今週のまとめ
仕事と介護の両立は、制度やサービスの知識だけではうまくいきません。
その出発点にあるのは、「親の気持ち」と「自分の気持ち」に丁寧に向き合うこと。
日々の会話を大切にしながら、親の価値観や望む暮らしを少しずつ共有していく。
そして「答えを出す」のではなく、「一緒に考える」姿勢で進んでいくことが、無理のない両立につながります。
介護は突然始まることが多いですが、親との対話は、今からでも少しずつ始めることができます。
“準備”ではなく、“つながり”を深める時間として。
まずは、今日の一言からスタートしてみませんか?
投稿者プロフィール

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大学卒業後、営業職・飲食業をへて介護業界へ。ホームヘルパー2級を取得後にグループホームでキャリアをスタート。
介護福祉士を取得し病院、ケアマネージャーを取得して老健・居宅支援事業所で働き、15年間の経験を元に、昨年7月株式会社介護屋ごとう、本年2月からはワントップパートナー札幌麻生店を設立。
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